【土質力学】土のコンシステンシー

土木工学

はじめに

身の回りの土は、ドロドロな泥から、サラサラな砂まで様々な状態を取ります。これらの状態は土に含まれる水分量で整理することができます。

今回は土の水分量として含水比を持ってきて、含水比と土の状態(土のコンシステンシー)の関係について考えていきましょう。

コンシステンシー

コンシステンシーは正確に言うならば、変形抵抗性を指す用語です。土木の業界では、土以外にもコンクリートにも用います。これは、適当においてある土が重力や振動によってどれくらい簡単に流れてしまうかを評価したものです。これは、定性的な評価基準であることを念頭において置く必要があります。

そのため、"土の"コンシステンシーとわざわざ呼ぶことが多いです。この点を確認しておきましょう。

土の状態の名前

土のコンシステンシーは大まかに分けて4つの状態に分かれます。これは、水分が減っていくに従って状態が変化していく様子を考えると理解しやすいかと思います。

この様子を含水比で整理したのが下の図になります。

右に行くほど含水比が大きい、すなわち水分量が多いことを意味しています。説明では水分量が多い順、すなわち右から説明していきます。

液体状

液体状とは、液体のように流れていく状態です。時間が経てば、泥と空気の境界面が地面と平行になるような状態です。

実際には泥の粘り気は大きいため、水のように簡単に流れはしないので簡単な衝撃を与えて流れ出すかを見ます。

日常的にはとろみを付ける片栗粉の水溶液的な感じから、中華あんをイメージすると良いと思います。

乾燥させていくと、ドロドロ度合いが減っていきます。このとき、スライムの用になった瞬間の含水比を液性限界wlw_lと呼びます。

塑性体状

先程述べたスライム状になったときを塑性体状と呼びます。含水比が高い状態だと、液体状のよく似ています。しかし、もっと含水比が下がるといわゆる"粘土"のようになります。勝手に崩れないため、一般的に最もよい状態と言われます。施工管理上、土を塑性体状に保つためにものすごいを労力をかけることになります。最終的に一つに丸めて伸ばすときにボロボロするようになった瞬間が塑性限界wpw_pになります。

半固体状

小さなそぼろ状の土に分かれているときそれは半固体状です。頑張ればひとかたまりのできるの感じの状態です。

日常的には加水初期の中華麺生地くらいです。

もっと乾燥してそもそも小さいそぼろ状になれない場合、もしくは大きな塊としてカチコチ担った瞬間を収縮限界wsw_sと呼びます。

固体状

完璧に乾燥させた状態を固体状と呼びます。このとき、完全にガチガチなものとパラパラの粉末状の2つに大別されます。これはレンガであったり、小麦粉であったりとイメージはし易いと思います。

状態を表す指数

実際には材料によって状態が変化する含水比は異なります。そのため含水比の比でもって状態を評価することになります。以下では現在の含水比をwwと書きます。

塑性指数

塑性指数は塑性体状でいられる含水比の幅を示したものです。以下の通り計算します。

Ip=wlwpI_p=w_l-w_p

液性指数

液性指数はどれだけ液状化しそうなのか、を示す指数です。塑性体状を保っている場合この値は1から0までの値を取ります。

Il=wwpIpI_l=\frac{w-w_p}{I_p}

コンシステンシー限界

コンシステンシー限界はどれだけ塑性状態に近いかを示す指数です。液性指数の裏側であり、用途は同様です。

Ic=wlwIpI_c=\frac{w_l-w}{I_p}

これらの物理量を用いて、土の含水比が好ましい範囲内に入っているかを検証します。実際の試験は規格が決まっていますので試験法はそちらを御覧ください。

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