【土質力学】土を構成する基本的な物理量

土木工学

はじめに

どんな科学現象を計算する上でも、対象をどんな要素から分析するかを考える必要があります。今回は土質力学で分析したい土をよく知るために、土の物質構成から考えてみることにします。

多くの人は土遊びをしたことがあると思います。この時水を加えすぎると柔らかくなり、逆に乾いた砂はさらさらとこぼれていきます。逆に水分を少しだけ含ませれば泥団子などのひとかたまりにすることができます。このように土と水の比率を変えることで、土は状態を大きく変えます。このことから土を示すにはこれらの比率を調べることが重要になるのです。

土の三相モデル

実際に土質力学では三相モデルと呼ばれる方法で土をモデル化します。これは、いわゆる土を、"土の粒子"、"水"、"空気"の3つから構成されていると考えるモデルです。先程の水と土の話から、空気が増えていることを奇妙に思うかもしれません。これは、土の塊を乾燥させたとき、水の減ったとしても土が大きくなるのは奇妙なことです。これは水がなくなった分空気が増えたと考えることでこのような奇妙な現象を避けることができます。

要素の分類

土の三相モデルは前述の通り、土を3つの構成要素からできているというモデルでした。これは以下の図のように土ができていると考えます。このとき VV はそれぞれの体積、mm はそれぞれの質量、ρρ は密度を表しています。単位はSI組立単位系です。

三相モデルの定義を示した図

このとき土を主に構成する土粒子と、操作によって出入りする水と空気という三種類で構成されていると考えるわけです。この時、特に水と空気は出入りが簡単であり本当は土粒子と土粒子の隙間に入り込んでいることから、この2つをまとめて間隙と呼ぶことも多くあります。この三種類の質量、体積を分析することで土の状態を推し量ることができるようになりました。

実際の土の様子

実際には三相モデルのように各要素が明確に分かれているわけではありません。これは、あくまで解析用のモデルだからです。塩水の問題において塩と水を明確に分けて書くのと似ていて実際の様子ではなく計算に便利なように書かれていることに注意が必要です。

実際の土はこれらの3つが十分よくかき混ぜられている状態です。イメージとしてはスポンジを考えるのが最適でしょう。スポンジは水を吸い込むとずっしり重くなり、乾燥すると水の部分がなくなります。しかし、この間にスポンジの繊維の部分は変化しません。これと同様のことが土でも起こっています。ただ。繊維の部分が土の粒子によって構成されているというだけです。

この時、土と土同士が十分に引き合っていれば(一般的には毛細管現象によるサクションが主要な原動力)ひとかたまりになりますし、逆に水に分散されていればシャバシャバの状態になります。あくまで計算用のモデルであることに注意を向ける必要があります。

土の基本的物理量

ここからは土の基本的性質を定める物理量について見ていきましょう。図のように土、水、空気それぞれを調べてもそのままでは性質がわかりません。そのため、これらの比率を考えることで性質を計算していくことになります。ということで各用語の定義を確認しましょう。

間隙比:ee

間隙比は土粒子の体積に対する水と空気の部分の体積、すなわち隙間の比率です。以下のような定義式になります。

e=VnVse=\frac{V_n}{V_s}

この指標は主に、土の体積を評価するのに使用します。殆どの場合土粒子の大きさは変化しないため、土の体積変化は、隙間の変化でしか起きないからです。実用上は土の沈下や、圧縮の評価に用いることが多いです。

飽和度:SrS_r

飽和度は隙間のうちどれくらい水が占めているかというものです。空気の密度は水や土粒子に比べてとても小さいため、ゼロとみなすことが殆どで、これも体積%で表します。このとき定義式は以下のようになります。

Sr=100VwVnSr=100\frac{V_w}{V_n}

飽和度は水分が出入りしたときにどれくらいの質量になりそうかを表現するのに使用します。この後使う含水比とことなり、最大と最小があるので密度の予測に便利です。

含水比:ww

含水比は土粒子の質量に対する、水の質量の%です。以下のような定義式になります。

w=100mwmsw=100\frac{m_w}{m_s}

これは、どれくらい土が水を含んでいるのかを評価するのに使用します。特に計測しやすいので、多くの範囲で使用されています。パサパサ具合、シャビシャビ具合を評価するのに使用されることも多いです。

計算問題を解くにあたって

特に土木学生の方に取って、土の基本的物理量を計算することは重要なことです。特に問題を解くに当たって、最初の図は定義として正しくはあるものの、使い勝手が悪いです。そのため土の体積を1(単位は場合によって変換します)として、体積、質量を計算した次の図を用いるのが簡便でしょう。


実際に土は比率が最も重要になるので、この図で十分なのです。

土の密度

ここから先は体積比の図の値を使って説明します。

今まで、土を細かく見た物理量を見てきました。しかし、実際にはこんな細かいことがわかっても使い勝手が良くないという特徴があります。そのため、"一体全体結局どんな物性なんだ!"ということが問題になります。このようにマクロな視点から見た密度を述べていきます。

密度は主に4種類使用します。

湿潤密度:ρtρ_t

実際の密度のことを指します。計算は以下になります。

ρt=ρs+ρweSr1001+eρ_t=\frac{ρ_s+ρ_w e\frac{Sr}{100}}{1+e}

飽和密度:ρsatρ_{sat}

飽和度が100%のときの密度です。これは、土が取りうる最大の密度でもあります。計算は以下になります。

ρsat=ρs+ρwe1+eρ_{sat}=\frac{ρ_s+ρ_w e}{1+e}

乾燥密度:ρdρ_d

逆に飽和度が0%のときの密度です。これは土が取りうる最小の密度になります。土粒子密度がすでにわかっているときは、実質的に間隙比の逆数になります。計算は以下になります。

ρd=ρs1+eρ_d=\frac{ρ_s}{1+e}

水中密度:ρρ'

これは水面下にあるときの密度を指します。特に地下水がある状況では、上方向に浮力を受けるため実質的に密度が減少しているように見えます。このときの密度のことです。水面下では必ず飽和度が100%になることに注意が必要です。

ρ=ρs+ρwe1+eρw1+e1+e=ρsρw1+e\begin{aligned}ρ'= \frac{ρ_s+ρ_w e}{1+e}-ρ_w\frac{1+e}{1+e} \\=\frac{ρ_s-ρ_w }{1+e}\end{aligned}

これらの密度を見ることでマクロな物性を知ることができます。

まとめ

これらの物理量は土をミクロ、マクロの両面から見たときの特徴をよく表しています。そのため、どのような計算なのか、どういう目的で利用されるのかを把握することが重要です。

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